御簾戸…夏はふすまを御簾戸に変えて、風が通るようにしました。 見た目も涼しく感じるのも日本独特のデザイン。 その他、階段の舞良戸や元々あったであろう引戸に交換しました。足りない建具は、 京都の古建具屋で見繕い、京都の風習に貢献しました。
坪庭…密集する住宅群の中で、光と風を取り込む装置です。そして四季を感じる癒やしの空間。京町家の伝統を守るのなら、内装ではなく、庭にお金をかけましょう!説得。 結果、やってよかったと満足していただきました。施工は京都の庭師さんにお願いしました。
玄関扉…玄関はアルミサッシ→木製ガラス格子戸→紙障子大戸 3世代前まで戻してみました。
貸家から仕出し屋の離れに店舗改装されていて、かなり間取りが変わっていました。
住居購入者の希望で、京町家らしさを取り戻してほしい要望があったので、
ここでも復元図面を作成してプランを練り上げました。京町家の造りは、独特の特徴と美意識が感じられます。その最大の特徴は、使い回しです。使い回すために、同じ間取り、同じ構造、建具も畳もその他の材料も同じサイズで作られています。今は随分減ったそうですが、昔は古材屋、古道具・古建具屋さんがたくさんあり、材料をストックして、街の中で使い回し、コンパクトに完結させていました。いわば、究極の循環型規格住宅群なのです。これは現代の住宅事情でもなし得ていない、優れた先人の知恵だと思います。京町家には他にも、たくさんの特徴的な様式美があるのですが、インバウンドで好き勝手に改装されて、建物は残っても、伝統的な京町家が極端に減っていることは、とても悲しいことだと思います。
DATA
所在地|京都府京都市
種 別|古民家再生
設 計|カーブ アーキテクツ